ハードとしての確実な家作り : 実践編

32.空調設備工事  その3

3.換気設備&排気設備

 換気排気は、よく似ています。
字のとおりだと、換気は空気を入れ替える、排気は排出するだけけ、という違いがあります。
しかし、排気だけを続けることは不可能です。
排気だけを続けていくと、室内はどんどん真空に近くなっていきます。
すると、室外と室内で気圧差が生じて、その間に空気の流れがおきます。
部屋は完全密封になっていませんから、内外が常に同じ気圧になろうとして、隙間から風つまり空気が入ってきます。
反対に、吸気だけ続けても同じです。
今度は、室内の気圧が上がって、外へ空気が逃げたがります。

 室内の気圧を高くするのを正圧(+)、低くするのを負圧(−)といいます。
正圧にすると、室内の空気は外へ逃げたがります。
ですから、トイレを正圧にしてしまうと、トイレの空気つまり匂いをもった空気が廊下に流れ出します。
トイレの換気は、換気扇で外に吸い出して、トイレの中が負圧になるようにします。
また、暖房を効かせてある部屋は、すきま風が入りやすく、これがまたとても寒く感じるものですから、暖かい空気を押し込んで、正圧にしてすきま風を防ぎます。

 空調は建物全体の構造と密接に絡んでおり、空調だけをとりだして述べることは、大変難しいものです。
少し考えただけでも、壁の断熱、新鮮外気の取入れ、廊下など通路の処理、片寄りなく全体を空調するには、空気の流速の制御、結露防止、音の処理などたくさんあります。
これらはすべて、建築設計と絡んできます。
大きな建物になると、最近ではコンピュターを使って制御していますが、それでもなかなか期待どおりには働いてくれないようです。

 こうした現代技術の限界だけでなく、人の生きる理念の問題として、住宅には宇宙船内のように完璧に人工的な空調をする必要があるか、という問題があります。
自然と共に生きるのも、また住宅のあるべき姿だ、という声もあります。
これは、そこに住む建築主の問題ですから、ここでは何とも断定できません。
自分が建築主になったときに、設計者とともに、対処していく問題でしょう。


33.ガス設備工事

 ガスは、熱源として使われますが、二種類あるのはご存知の通りです。
それは、都市ガスとPLGです。
カロリーの違いと、供給方法の違いをのぞけば、まったく同じに考えることができます。
使い方はまったく同じです。
しかし、同じ器具で都市ガスとPLGを使うことはできません。
引っ越しをして、ガスの種類が違うところにいったら、器具は交換です。

 東京地方では、東京ガスが独占的にガスの供給をしています。
そして、ガス工事も東京ガスの独占です。
電気は東京電力の独占的な供給でありながら、工事は各電気工事店が施工するのとくらべるとまったく違います。
ガスにかんしては何をするにも、東京ガスに頼まなければなりません。

 東京ガスは独占をいいことに、ガス工事の施工費を全額前払いしないと工事に手をつけません。
東京ガスの社員が見積もった金額から、1円も値引きすることなく支払うことを要求されます。
支払が完了するまでは、どんなに工期がきびしい現場でも、東京ガスはまったく動きません。
そして、見積金額が多かったときは、工事終了後に返金するという驚くべき商売を東京ガスはやっています。


 LPGなると話はまったく違います。
LPGは競争が激しいため、ガス工事は無料もしくはそれに近い例が多いのです。
ガス工事をすれば、家ができあがってから必ずガスを使います。
それを見越して、工事は無料という例がほとんどです。
これはLPGの利益率が非常にいいことによるとは思いますが、それよりなによりLPGを売る業者の姿勢が東京ガスとはまったく違います。

 LPGの施工についても同じです。
完成間近になって、現場が追い込み体制にはいって、夜遅くまで工事をすることがあります。
建築従事者は全員が建物を完成させて引き渡すことを、無前提的な了解事項としています。
ですから、現場が竣工間近の時は、全員が総力をあげ遅くまで仕事をします。
しかしそんな時でも、東京ガスの作業員たちは、5時になると終業時間がきたといって、仕事の途中で引き上げてしまうことすらあります。
こうしたことは、LPGの施工者には考えられません。


 こうした事情があるので、ガス製品は同じ製品なら東京ガスから買うことはしません。
それがいつも腹立たしい思いをさせられている、町の零細工務店のささやかな抵抗です。
しかし、東京ガスの供給範囲では、東京ガスに工事を依頼せざるをえません。
もし、都市ガスを使わなければならないときは、相当早めに段取る必要があります。


 都市ガスを使うにしろLPGにしろ、ガスは漏れると危険ですから、ガス漏れ警報器をつけたほうがいいでしょう。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい