ハードとしての確実な家作り : 実践編

30.給湯設備工事

 給水つまり水道は、以前からありましたが、給湯、お湯を家の何処でも使用できるよになったのは、最近のことです。
また、ユニットバスの普及と一緒になって、二階にも風呂が作れるようになりました。
給湯設備の普及には、ボイラーの飛躍的な改良があります。
かつてのボイラーはどれも大がかりで、しかも望んだだけのお湯を、瞬時に供給することはできませんでした。
今日用いられているボイラーは、次のように分けることができます。

集中式−大きなボイラーによって、集中的にお湯を作り、それを建物全体に配る方式です。
分散式−使う場所で沸かす、洗面器などの下に小さなボイラーを仕込む方式です。
瞬間式−使うときにお湯を沸かす。
貯湯式−沸かしたお湯をためておく。
熱源は、ガス・灯油・深夜電力
 

 まず1からいきましょう。
集中式は、昔からある方法で、大規模なホテルなどと同じ考え方です。
これは、1ヶ所で管理できるために単純なのですが、ボイラーから遠くなると、温度が下がったり、なかなかお湯がでない、という問題をもっています。
ホテルなどでは、それを防ぐために、循環式の配管をして、お湯を常に建物中に回しています。
ですから何時でも何処でも、お湯がでるようになっています。
しかし、これを一般の住宅でやるには、大がかりになってしまいます。

 分散式というのは、この言葉があるわけではありませんが、集中式に対して、こう言ってみました。
分散式は、最近のボイラーの改良によって、可能になった方法で、お湯を使う場所に、それぞれ小さなボイラーを設置する考え方です。
厨房、洗面所、風呂などなどに、適応するボイラーを設置します。
これは、何時でも何処でもお湯が使える、手軽な方式です。
初期投資はかかるかも知れませんが、住宅ではこちらを薦めます。


 2は、使うときに沸かすのか、事前に沸かして溜めておくのか、という違いです。
瞬間式は、ガスを熱源とするものが多く、細いパイプの中に水を通して、そのパイプを加熱する方式です。
かつては、細いパイプに水を通すため、水圧が充分にないと着火しませんでした。
また、大量のお湯を使う場合には、器具本体も大きくなってしまいました。


 最近では、改良がすすみ、16号相当でもせいぜいランドセル程度の大きさです。
(1リットルの水を、1分間に1度上げる能力を1号という)
そのうえ、蛇口を全開にしなくても、着火するようになりました。
貯湯式は、80度くらいのお湯を溜めておき、使うときに水と混ぜて適温にして使用する方式です。


 3の熱源は、便利さではガス、経済性では灯油、安全性では深夜電気、というところです。
ガスは瞬間式、灯油と深夜電気は貯湯式と相性がいいようです。
深夜電気は、夜の安い電気を使って、前の晩に一日分のお湯を、沸かしておこうというものです。
ですから、溜めておくお湯の量はどうしても大量になり、広めの場所が必要で、地価の高い都市部では、いささか不利です。

 実際は、これらを組み合わせて、最適なボイラーを使うわけです。
それをすべて検討するのは煩雑ですから、匠事務所のおすすめセットを、一例だけ検討してみます。
ただし本論は、木造一戸建ての家を、前提にしていますので、アパートのような集合住宅の場合は、また少し違います。


 匠事務所は、分散式を選びます。
使いたいとき、何時でも何処でもお湯がでることに、設計の基礎をおきます。
それは贅沢だ、風呂と台所だけでお湯が使えればいい、というのであっても、分散式を薦めます。
つまり、ボイラーの近くでお湯を使うことは、もっとも効率がいいわけです。
配管も楽ですし、何よりも蛇口をひねれば、すぐお湯がでます。
分散式の場合は、建築の設計と密接に関連していますが、設計は可能であるという前提で話を進めていきます。

 まず、風呂です。
和式の場合は、シャワー付きの追い炊きができる風呂釜が、最良でしょう。
現代人の生活時間帯は、個人によってさまざまで入浴時間は決まっていません。
それに対応できるための、追い炊き釜は不可欠でしょう。
フルオートという機種を選べば、水張りから湯温の設定、湯量の維持まで手間知らずにやってくれます。

 厨房は、5〜7号程度の瞬間湯沸器を、厨房の外壁につけます。
厨房は、お湯の使い方が断続的ですから、厨房専用のボイラーを設置したほうが良いでしょう。
しかし、それも小さな能力のもので充分です。
この時は、先止め式という機種を選べば、ボイラーが厨房内に見えることはありません。

 洗面所は何時でも迷うのですが、風呂のとなりにあれば、風呂釜から分岐しても良いでしょう。
しかし、二階の洗面所となると、少し話が違ってきます。
この場合は、洗面台の下に、貯湯式の電気温水器を仕込んでいます。


 よくでる話に、洗濯の時のお湯を、どうするかというのがあります。
まず、洗濯機を何処におくかによって話は違いますが、風呂の残り湯を洗濯に使うのであれば、それがくみ出せるところに洗濯機をおかなければなりません。
しかし、洗濯に残り湯を使うと、いったい幾らの節約になるのでしょう。
やはり洗濯にも、給湯口を用意することを薦めます。


 ボイラーはこれで決まったとして、配管です。
配管の材料は、かっては銅管が使われてきました。
最近では、耐熱塩ビ管や、耐熱塩ビライニング鋼管も使います。
お湯には鉄管だけは使えません。
水のなかには、鉄の錆を止める細菌が生きていますが、お湯にするとそれが死んでしまいます。
ですから、たちまちにして鉄管が錆びてしまいます。
また、お湯の配管には、室内であっても保温材を巻いておきたいものです。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい