ハードとしての確実な家作り : 実践編

29.排水設備工事  その1

 出てきた水は、用が済んだら返してやらなければ、洪水になってしまいます。
給水は圧力がかかっていますから、二階へでも何処へでも昇っていきます。
しかし、用済みの排水は自然法則にしたがって、高いところから低いところへと流れていきます。
ですから、必ず水勾配をとってやらなければ、水は思ったほうへ流れてくれません。

 給水や給湯では、蛇口という止水栓があって、それがいろいろとデザインされていますので、建築主の関心も集まっています。
ところが、排水となると、用済みのものを捨てるだけですから、建築主の関心を引き付けるものではありません。
しかし、これが順調に排水されないと、大変なことになるのは、給水以上であることは言うまでもないでしょう。

 排水工事は排水管を、洗面器や、風呂桶につなぐことから始まります。
排水管は、硬質塩化ビニールのものが使われます。
直径50、75、100で、長さ4メートルという規格サイズのものを、切ったり、つないだりして、家のなかに排水の経路をつくります。

 
配管と曲物部材

 管工事というのは、直線部分と曲がりの部分の曲物を、組み合わせて作るものです。直線の管を曲げて、作るわけではありません。
<分岐>や<曲がり>が多い場合は、配管は左図のようになります。
役物(やくもの)は、<分岐=チーズ>と<曲がり=エルボ>しかありません。
何度も曲がると、配管は芸術的にクネクネと曲がっていくことになり、非能率この上ありません。
複雑な配管は詰まりのもとですし、大きな排水音がでます。
単純な配管をするには、設計の時から、しっかりした配管計画を作っておくべきです。


 排水系統は、通常二系統に分けて、計画します。
まず、室内にある台所や、風呂などからの排水です。
これは雑排水と呼んでいます。
それともうひとつは、便所からの排水つまり汚水排水です。
都市部で、公共下水道が完備してある地域なら、そんなに神経質に分ける必要もありません。
しかし、敷地のなかの浄化槽で汚水処理をするのであれば、この二つはまったく別の系統とします。
と言うのは浄化槽は、一度に大量の水を処理できないからです。


 雑排水のための管径は 50ミリを使用することが多く、一度に大量の水が排水される風呂は、75ミリを使用したほうがいいかもしれません。
いずれも、しっかりと排水管を固定することが肝心で、それが緩いと排水時に音がしたり、排水時の振動が繰り返しかかるうちに、管のつなぎが外れたりという事故につながりかねません。
一階の事故は地面に漏れるだけですので、たいした被害が発生しませんが、二階以上での事故は、大変な被害になってしまいます。

 
水漏れの見分け方
 給水系統か排水系統か、どちらから漏水しているのか。
簡単な見分け方は、いつも少しずつ漏水しているようであれば、給水系統だと考えます。
給水系統には圧力がかかていますから、絶え間なしに漏水しますが、排水系統は使った時だけ漏れるわけです。
 
トラップの原理

 排水管には、管の内壁に汚物が付着してきます。
洗面器や流しなどと、排水管と直結してしまうと、その匂いが室内にでてきますので、それを避けるためにトラップ(=罠)という装置を設けます。
罠といっても、特別の仕掛があるわけではなく、左図のように排水管の一部を曲げて、そこに水を溜めてあるだけのことです。
この水によって、匂いの上昇を止めるという仕掛です。
使用される度に、いつも水は補給されますから、常にこの状態が保たれるわけです。
ところが、しばらく使用しないでおくと、この水が蒸発してしまい、臭気が室内に立ちこめてしまいます。
トラップの種類によっては、水の量が少なく蒸発しやすいものがあります。
この水のことを封水といいますが、これが切れても、ただ匂いが上がるだけで実害はありません。
もしこういう状態になったら、蛇口をひねって少し水をだせば簡単に解決します。


 封水が切れたのは、簡単に直ります。
ところが、その家庭の生活習慣は変わらないために、一度切れると何度も切れやすくなって、何処か故障しているのではないか、と思われるようです。
実害はないといっても、イヤな臭気ですから、我慢できないことすらあります。
封水量の大きなトラップにかえることを、考えるべきかも知れません。
規模の大きい建物では、封水が圧力差によって切られやすいので、通気管というものを設けます。
木造二階建て程度の規模でも、最近は設ける例がふえています。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい