ハードとしての確実な家作り : 実践編

27.機械設備工事

 設備工事には、もう二つあります。
電気設備が、電気という眼に見えないエネルギーを、相手にしていたのに対して、水と空気を相手にする設備があります。
それは、給排水衛生設備であり空調設備ですが、それらを一括して機械設備と呼びます。
こうした設備工事を、以下の6項目に分けて、述べていこうと思います。
ただし、1〜4は水道屋が施工し、5と6はそれぞれ別の担当者が施工しますので、章を分けてあります。

1.給水設備工事  2.排水設備工事  3.給湯設備工事 
 4.衛生設備工事  5.空調設備工事  6.ガス設備工事

 電気設備は、照明という光をとおして、室内の雰囲気づくりに、大きな影響を持っていました。
しかし、水は、雰囲気づくりには無関係です。
水は雰囲気と言ったレベルではなく、人体の生命や健康の維持に、直接かかわるものです。
しかも、水は蛇口から出て、出た水が無事に流れて行ってくれれば、いいわけです。
ですから、できあがった家を見たのでは、水が何処からどう流れてきているのか、判らないように<隠蔽>配管とします。

 これから述べる、各種設備工事は、便利さという秤でのみ計られるものです。
たとえば、家のどこでも蛇口をひねれば、お湯が出ると言うのは便利に違いありません。
またいつでも、風呂にはいれたり、紙のいらないトイレ、いつでも一定の室内気温、こうしたものは便利に違いありません。
建築が見た目を大事にするのに対して、設備は性能を大切にします。


28.給水設備工事   その1

 かつては水道などという便利なものはなく、お金持ちの家でも井戸から水を汲んでいました。
井戸は井戸で利点もありますが、今日では現実的ではありません。
井戸は省略して、水道の話です。

 水道は、それぞれの自治体が管理しており、道路下に埋設された直径 50〜100ミリの本管から分岐して敷地の中に引き込みます。
かつては、一軒の家にせいぜい2・3ヶ所しか、蛇口がありませんでした。
そのため、一番細い13ミリの水道管で引き込めば充分でした。
しかし、最近の住宅は、もっとずっとたくさんの蛇口がありますし、また二階にも水道はいっています。
ですから、13ミリでは少し細すぎるようで、25ミリでとったほうが良さそうです。
直径が 2倍になると、そこを流れる水量は4倍になります。


 敷地に入った水道管は、まず水道の使用量を計るメーターをくぐります。
メーターの所有権は、管理している市や区にあり、いわば借り物です。
水道は人間の口にはいる水を運んでいますから、管理者の神経の使い方は大変なものです。

 
水道施工業者の裏話
 飲料水だから、工事をする施工者の技術基準は、高くあってもらいたいところです。
ですから、各自治体が監視し、水道業者は許可制になっています。
この許可をとるのは相当に大変で、川崎の場合だいたい 2千万円くらいのお金がかかります。

 一年に一度、許可業者の新規受付があり、川崎では毎年2〜3者が、新しく許可されています。
これだけの元手をかけなければ、取れない資格ですから、水道工事業者は施工にあたり、それなりの工事金額を計上してきます。
必然的に、水道工事費は割高になります。

 たしかに、許可業者に水道工事をさせることによって、水道の衛生面は維持できるでしょう。
けれども、それが閉鎖的な水道業者の集まりを作りやすく、高値安定という状況を作っている、と言えなくもありません。
水道関係の見積を見るたびに、なんとなく割り切れない感じがします。

 メーターをくぐった水道は、敷地のなかを建物に近づいていって、地中で建物のなかに入ります。
そこで分岐されて、それぞれ水が必要な場所に枝分かれしていきます。
地中にあった水道管は、土が保温材の役割を果たしてくれます。
ところが、地上にでると、直接に寒さに曝されますから、氷点下にまで下がる地方では、耐寒被覆をしなければなりません。
これをしておかないと、寒い冬には水道管内の水が凍結して、水道管が破裂してしまう恐れがあります。
通常はスタイロ フォームのカバーをかぶせた上を、黒いテープで押さえます。

 水といって、馴染みのあるのは、なんといっても台所でしょう。
台所の流し台の上には、必ず水道の蛇口があるはずです。
以前は、水だけがでていましたが、最近ではお湯も、でるようにするのが当然になっています。
ですから、水だけの蛇口ではありません。
混合水栓といって、水とお湯を、混ぜ合わせる蛇口が使用されます。
お湯の供給方法については、給湯設備で述べることにして、お湯はきているものとして話を進めていきます。

 厨房用の混合水栓は、80度くらいできたお湯を、適当な温度まで下げるためのものです。
水とお湯に、それぞれ水栓がついていて、使う人が自分で適当な温度に調節するのが、最も簡単なものです。
ところがこれでは、使うたびに両方の水栓を調節して、温度をきめてやらなければなりません。
ひんぱんに止めたり、流したりする場合は、めんどうです。
そこで、一つのレバーで水とお湯を一度に調節できるものが、市販されています。
前者を2バルブ混合栓と呼ぶのに対して、これはミキシング バルブ混合栓といいます。
もちろん、この方が高価で、2バルブの混合栓が1万円前後であるのに対して、3万円くらいします。


 水とお湯を混ぜると簡単にいいますが、水とお湯を混ぜ合わせて、いつも決められた温度にしておくことは、なかなか大変なことです。
というのは、水もお湯も水圧が常に変化していますから、単に流量の調節だけでは温度は一定にはなりません。
片方の水圧が高くなると、高くなった方が押して、温度を変えてしまいます。
そこで、いつも一定の温度のお湯を吐水するために、いろいろな機構を内蔵しています。


 温度調節の機構は、ここ10年間に、めざましい進展をとげ、手軽に適温のお湯が、使えるようになりました。
その最大の原因は、湯沸機の改良ですが、それは、給湯設備のところで詳述します。
給湯機だけではなく、混合水栓もめざましい改良を、とげたものの一つです。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい