ハードとしての確実な家作り : 実践編

25.電気設備工事

 電気設備は、電気を光として使う照明と、電気器具のためのコンセントに大別できます。

照明   その1

 通常、室内で使用される電球は、白熱灯か蛍光灯です。
(最近ではヨーソ電球やLED電球なども出ているが、それらはカタログを見て欲しい)
白熱灯にしろ蛍光灯にしろ、電球自体は安いものです。
電球は比較的寿命の短いもので、一年に一度くらいは交換します。
ですから、電球の交換を考えておかなければなりません。

 電球から発せられる光を、そのまま目にするとまぶしいので、電球に覆いをかぶせます。
その覆いに、様々なものがあるわけです。
つまり、照明器具の設計とか、照明のデザインといわれているのは、光源である電球に、どういう覆いをかけるかということです。
そして、光源からでた光が、その覆いを通過する様子や、通過して変質された光の拡散され方を考えるのが照明の設計です。
匠事務所の考える照明の設計方針は、<考える家>で述べました。
それを参照しながら、以降の話を御読みください。

 明るさの採り方には、二通りあります。
直接照明と間接照明です。
直接照明とは、字の通り電球から発せられた光を、直接目にする照明です。
照明のエネルギー効率としては、無駄のない方法です。
最も簡単でしかも安く、そのうえ維持費も安いという優れ物です。
まず、その例を考えてみましょう。

 
レセプト+電球

 空中に吊るす照明ではなく、壁付け、もしくは天井付けというような直接照明です。
白熱灯では、レセプトという器具がこれに当たります。
左図のような、レセプトに裸電球という超貧乏な組合わせは、レセプト100円+100ワット電球160円、合計260円で明るさを手に入れることが出来ます。
安くても、これはこれでよいものです。
照明器具としては最も安価ですが、完璧に設計された中に置かれたレセプト+裸電球は、意外な面白さを見せてくれます。

 まぶしさが気になるようであれば、裸電球にかえて、ミラーボールという半分だけ銀を塗ってある電球を使えば、まぶしさが防げます。
ミラーボールーといえども安く、290円くらいです。
この組み合わせの中で、少し凝ったことをしたければ、変わり電球を使用することもできます。
いろいろな形の電球が市販されていますから、好みに応じて選んでみるのも面白いでしょう。

 蛍光灯で、これと同じことを考えてみますと、二通りの例が考えられます。
同じくレセプトをつかって、電球だけ球型の蛍光灯を使用する場合です。
今では白熱灯専用の口金であった、レセプトにも適合する球型の蛍光灯が市販されています。
これを使用すると、レセプトが100円+17ワットの球型蛍光灯が2、000円(白熱灯60ワット相当)です。
球型の蛍光灯は、安定器が内蔵されているために高価な電球となります。
ただし蛍光灯の光には趣がないため、この組み合わせは、白熱灯のようには効果的な照明を演出できません。
LEDを使えば、電力の消費は少なくなります。

 次は、トラフという蛍光灯専用の器具をつかってみます。
トラフはふつう看板の中など、隠されてしまう部分に使用されています。
トラフは蛍光管つきで市販されていることが多く、20ワットが3、000円、40ワットが4、000円くらいでしょうか。


 このトラフは匠事務所の愛用品で、一軒の家で必ず何ヶ所は使う、といっても過言ではありません。
しかし、トラフはレセプト+裸電球とことなり、直接照明の光源としては使えません。
蛍光灯の光は趣がありませんから、いくら匠事務所でも、トラフをそのまま見せたくはないのです。
トラフは隠蔽用の器具です。
間接照明か、そのうえに覆いをかけて、光だけ使用するには、最も安価なので、最適の器具というわけです。


 直接照明とか間接照明といった、光の採り方にに対して、どこから光を採るかという問題も設計の対象です。

1.天井面に仕込む  例 光天井ダウンライト 2.天井面につける  例 シーリングライト
3.天井から吊るす   例 コードペンダント 4.壁面に仕込む   例 ウオールライト
5.壁面につける     例 ブラケット 6.壁面から持ち出す
7.床面に仕込む    例 フロアーライト 8.床にたてる      例 スタンド

1〜8までのどれでも、直接照明にすることも可能ですし、間接照明にすることも可能です。
間接照明というのは、建築的に光源が見えなくなるような細工をせねばなりません。
ですから、これ以降ことわりがない限り、直接照明と考えてください。

 
ダウンライト

 1のもっとも多い例は、ダウンライトです。
ダウンライトというのは、下向きに光がでるものをいうのでしょう。
左図の1のようなものですが、2のようなものもダウンライトと呼びます。
光源が見えず、天井面がスッキリと仕上がるため、設計者が大好きな照明器具です。
確かに、器具自体も安く、光の色や向き、強さの調節が簡単なので、使いやすい器具です。

 電球の交換などにも、簡単に対応できます。
欠点のないものはないと言うとおり、光源が小さいですから、部屋全体では明るさにムラが出来やすく、ダウンライトだけで全体照明をまかなうには、沢山のダウンライトが必要です。
そのために、結果としては高価になりやすい。
また、天井面よりも上に器具が飛び出すので、天井懐がないと使用できません。
電球の熱がこもりやすく、そのため電球の寿命が短くなってしまうきらいがあります。


 ダウンライトの長所は、住み手にとっても長所ですが、よく考えてみると、欠点は住み手にとってだけ、欠点となっていることに気付きます。
点光源であるなら、台数をふやせばいい、それは売り上げ増です。
電気を喰うというのは、電気料が高い、それでも使い手が納得してくれるなら、電力会社としてはこんな好いことはない。
ダウンライトの欠点は、電気や照明器具を売っている方には、長所とはいわないまでも決して欠点ではないということです。


 たしかにダウンライトは、なかなか良い器具です。
しかし、設備の世界での法則が、ここでも貫徹しています。
それは、設備的な便利さ快適さを手にいれるには、それに比例してお金がかかるということです。
設備設計は、常にコストパフォーマンスとの争いで、投じたお金に見合う見返りがあるかどうか、が第一番に検討の対象になるわけです。
このあたりが、建築の設計とは本質的に異なるところです。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい