ハードとしての確実な家作り : 実践編

24.設備設計について    総論
 電気にしろ、水道にしろ、部屋に見えている器具だけでは、望む機能は働きません。
器具のところまで、電気や水を運んできてやらなければ、ただの飾りです。
それらを運ぶための血管のようなものは、ふつうは<隠蔽>といって、仕上がった後からは見えないように施工します。
本論は、実際になされる建築の工事と、同時進行で書き進んでいます。
ですから、実際にそうした工事をする時期、つまり壁下地のところで、設備工事について一度触れたのでした。

 工事の進行を示す工程表でも判るとおり、設備工事は最初から最後まで係わってきます。
ところが、通常の建築案内書は、設備工事として、最後にまとめて記述する例が多いようです。
それは設備工事が建築工事より、はるかに最近になって発生したので、建築工事とは別に記すという名残りです。
今日的な設備がない時代にも、人は家に住んでいたのですから、設備は家を成り立たせる不可欠の要素ではありません。

 水道のない家を考えることは可能です。
戦前の農家では、家の中に水道はありませんでした。
それでもそこに人は住んでいました。
電気のない家も考えられます。
現代人はランプやろうそくの、山小屋生活にあこがれすら持ちます。
しかし、屋根や床のない家は考えられません。
もし屋根のない家を想定しても、それはもはや、家という概念で語られる物ではないでしょう。
そうした意味で、今でも、設備工事は付加的なものであり、最後に語られる宿命にあります。

 設備工事は目に見える便利さをもたらすために、日に日に大きな部分を占めるようになりました。
とりわけ設備を構成するものは、ほとんどが工業製品です。
そのため大企業が広告などを通じて、大々的にイメージをばらまきます。
その上、しっかりした原価計算にもとずいて売られていますから、利益の確保が正確に予測できます。
建築主も便利さを好み、施工者も十分な利益が確保できるので、設備の占める割合は大きくなっています。

 家の本質は設備にはないと言っても、今日の家で、電気や水道のないのは考えられません。
ですから匠事務所でも、実際の家を設計するときは、設備工事にも多大の神経を払っています。
ここで少し脱線しますが、設計者の役割分担を説明します。
設計には
1 企画      A 企画
2 基本設計   B 建築設計
3 実施設計   C 構造設計
4 工事監理   D 設備設計

という二つの分け方があります。
1〜4は、設計の進行順序にしたがって分けています。
これは、すべて一人の人がやっても、いっこうに構いません。
しかし、A〜Dは、設計そのものの内容で分けていますから、そうはいきません。
AとBは、同じ人がやる場合もありますが、B、C、Dは違う人がやります。

 通常、設計者というと、建築の設計を思われるかも知れません。
しかし、設計界の内部をみると、構造設計者も設備設計者もそれぞれ別にいるのです。
彼らは直接には、建築主とは接触しません。
建築設計の下請けという形になるため、目だたない裏方の存在です。

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「タクミ ホームズ」も参照下さい