ハードとしての確実な家作り : 実践編

23.雑工事   その1

 今まで述べてきた工事の範囲には、どうしても入らないものがあります。
たとえば、下駄箱とか、厨房の流しとか、作り付けのタンスとかいった物は、今までの工種には分類しきれません。
そうは言っても、作るのには誰かが作り、いくらかのお金は必ずかかります。
とすれば、どこかに計上しておかなければ、総工事費をおさえる上で、困ったことになってしまいます。
そこで、どこにも分類できないものばかりを集めて、一つの項目たてました。
それがここでいう雑工事です。

 雑工事といっても、雑にする工事ではなくて、種々雑多な工事という意味です。それには、おおよそ次のような物があります。

1.厨房セット−システムキッチンユニットキッチン
2.厨房排気器−有圧換気扇をつかうか
3.作り付け家具−AとBの2種類ある
4.防腐処理・防蟻処理

1.厨房セット

 厨房の流しのセットからいきましょう。
ご存じのとおり、最近はシステムキッチンなるものが流行っています。
おかしなことに、システムキッチンではない厨房セットの名前は、今まで存在しませんでした。
普通の厨房セットには、名前がなかったのです。
厨房セットといえば、それしかありませんでしたから、取り立てて名前を付けなくとも、よかったわけです。

 システムキッチンが、大々的に宣伝してきたために、今までのキッチンセットにも、名前をつけざるを得なくなりました。
そこで、今までのキッチンセットは密かに、ユニットキッチンといわれるようになりました。
これはツーバイフォー工法が大々的に宣伝したために、今まであった普通の建築が仕方なしに在来工法というのと同じです。
ユニットキッチンといい、在来工法といい、守りにまわった方はなんだか元気なく見えます。


 ユニットキッチンも、システムキッチンもつまるところは、洗い場と、調理台と、ガス(電気の場合もある)台の三点を基本構成とします。
この三点に、収納を加えたものが厨房の必需品です。
ユニットキッチンの場合は、この三点がバラバラの状態で完成されており、それを厨房に据え付けるだけです。
三点がすでに完成されているため、相互間には連結されません。

 ユニットキッチンと、システムキッチンの最大の違いは、クックトップと呼ばれる甲板が一つながりかどうかです。
ユニットキッチンでは、どうしてもいくらかの隙間ができてしまいますから、そこには銀色テープを貼ってつなぎます。
しかし、そうしても、もともと別の物ですから、下の部分では多少の隙間が空いてしまいます。
そこがゴキブリの格好の隠れ家となって不衛生だ、というのがシステムキッチン派の言い分です。


 この隙間だけでなく、厨房には無限のゴキブリの隠れ家があります。
システムキッチンにしたから、厨房にゴキブリがいなくなるなんてことは考えられません。
衛生上システムキッチンの方が有利だからではなしに、外観がきれいだからシステムキッチンが選ばれているのだと思います。
それはちょうど、設計者が美しい住宅をデザインしようと、躍起になっている姿とよく似ています。
デザインにお金を投じる設計者であれば、システムキッチンを選ぶ人を批判できないように思います。

 システムキッチンは、もはや雑工事にくくれないくらいの金額です。
たとえ、小規模なシステムキッチンでも 50万円位しますから、総工事費が1千万円の住宅であれば、その 5%に相当します。
これは、次に述べる電気設備工事費の総額にも匹敵し、けっして安い金額ではありません。

 システムキッチンは厨房だけに投資するのですから、なんだかバランスを欠いていると感じられて仕方がありません。
それでなくとも、厨房つまり水廻りにはお金がかかります。
こうもシステムキッチンといわれると、それがおいしい食事でも作ってくれるのかと、不思議な感じに襲われます。


 システムキッチンにしろユニットキッチンにしろ、これらは工業製品ですからカタログやショールームがあります。
厨房の広さは、その厨房で何人が働くかによって決まりますが、同時に、厨房セットの配置も一考しておく必要があります。
カタログを見ながら、おおよその配置計画と平行して、厨房の設計は進みます。


2.厨房の排気

 通常、厨房の排気はガスコンロの上にあるレンジフードでおこないます。
これは厨房のセットに揃っています。
しかし、この方法ではきわめて不完全な排気しか行えません。
しばらくすると台所中が、何となく油でベタベタしてくるのは周知のとおりです。
これは、レンジフードが完全に排気をしてないからですが、しかたないと半ば諦めていたところがあります。


 有圧換気扇を使った排気方法を見つけてからは、画期的に改良されました。
板金屋にフードをつくってもらって、その中に有圧換気扇を組み込むだけなのですが、強力に排気します。
(ハイキエースとか、グリーンハイキして商品化もされている)
吸い込み口をつける位置が問題で、ガス台から40〜50センチくらいがちょうどいいようです。
このあたりは、何回か失敗しながら、ノウハウを蓄積してきました。
うまくできたこの排気システムは、スイッチを入れると、立ち上る煙がそのまま吸い込まれていくのが見えます。
その吸引力には、驚くばかりです。
ただし、使わないときには、ここを経由して外気が逆流してきますので、必ず蓋をつけることです。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい