ハードとしての確実な家作り : 実践編

18.タイル工事   その1

 タイルといえば、焼き物というのが頭にうかびます。
タイルも石とよく似た使用のされかたをします。
それは一種の化粧材、つまり見ばえにのみ関係する材で、タイルをはるか否かは、家の性能とはほとんど関係ありません。
タイルをはったら、断熱性能が上がるという理由で採用されるのではありません。

 タイルの採用は、ただかっこう良く見えるか否かにかかっている、と言っても過言ではありません。
ところが建築にとって、見え方というのはとても大切で、良い雰囲気にしろ、素敵な室内にしろ、豪華な外観にしろ、すべて見え方をいっているわけです。
よりよく見せたいという願望が、様々な建築を生み出す原動力の一つだと言ってもよいくらいです。
また、デザインとは見せ方だといってもよく、見え方、見せ方はゆめおろそかにできません。


 タイルの話は、建物の外部からいきます。
木造住宅の場合、外壁にタイルをはるのは非常にまれです。
タイルは重いので、木下地にはりつけるのは、ふつうは無理です。
では外部のどこに使用されるかというと、門から玄関までのあいだとか、外階段や玄関のまわりといったあたりです。
つまり、主として土足で歩く床にはるわけです。


 タイルの使用部位は、石のそれと似ています。
張り石を高級品とすれば、タイルは中級品といったところです。
普及品はコンクリートの金鏝仕上げや、色モルタルというモルタルに着色した仕上げなどでしょうか。

 床用タイルは、歩行の衝撃にたえるため厚さ7〜10ミリくらいあり、丈夫にできています。
そして、すべらないように、表面がザラザラしています。
また、その上を歩く靴が土を運んでくるため、汚れが目立たないような地味な色あいのものが多いようです。


 最近では、床タイルとして200〜450角程度の大きさのものが好まれています。
このくらいの大きさのタイルは、コンクリートの上にうすく接着剤をならしつつ、それがかわかないうちに、一枚ずつ置くようにして施工していきます。
水平や通りをまっすぐに保つため、ガイドになる糸をはって、糸にならって精確にはります。

 昔ながらのモザイク タイルは、一つが 30×30ミリくらいで、それが 300角の紙に100ヶ貼りついています。
ですから、300角の紙を一単位としてはりつけます。
そして、接着剤とタイルがくっついたら、紙をはがします。


 大きいタイルもモザイクタイルも同じように、目地に目地材をつめて全体を平らにします。
タイル面に水勾配をとるのを忘れてはいけません。
雨水が流れなくなってしまいますので、水勾配は確実にとり、水下(みずしも)には排水口を用意します。
できれば、タイルの張り面で水勾配をとらず、下地のコンクリート面でとったほうがいいでしょう。


 室内に入ると、タイルといって一番多く使用されるのは、浴室と厨房でしょう。
浴室に使用し得る材は、耐水性があってカビず、しかも水で洗い流せて等という条件によって、非常に限定されます。
その中でも、タイルは最適材の一つでしょう。
浴槽こそFRPやステンレス、ホーローなどになりましたが、洗い場の床や壁は、圧倒的にタイルが使用されています。


 床用と壁用は、材質が少し異なります。
床は滑っては困りますから、30×30とか 50×50といった小さなタイル、もしくは表面がザラザラしているタイルが使用されます。
壁用となって、通常タイルといった時にイメージする、あのつるつるるした100角や200角のタイルが使用できます。
壁用は無地物から模様の入ったもの、絵のかかれた装飾性の高いものまでいろいろとあります。
もちろん、タイルのサイズが大きくなればなるほど、高価になります。

 タイルは工場製品です。
ですから、次々と新製品が生み出され、メーカーも販売には熱心です。
ショールームには無料配付用に、たくさんの現物見本をならべています。
カタログで目ぼしをつけたら、見本をもらって検討すると良いでしょう。
施工についても説明書がありますから、それに従って施工すれば良く、詳細はそちらにまかせます。

 建築にたずさわる多くの人々は、施工精度を上げることに腐心してきました。
平らなものはあくまで平に、平行な物は完璧な平行に、といったぐあいです。
タイルにあってもことは同じです。
まず焼き物特有の歪や色むらをいかになくすか、また施工にあたっては、いかに目地をピシッと通すかといったことに神経を使ってきました。
その結果、今日のタイルの精度は素晴らしいものになっています。
技術の進歩は著しいものがあり、もはやタイルの本場、ヨーロッパのそれをしのいでいるかも知れません。


 施工精度を上げるのも大切ですが、タイルの面白さはつまるところ、床や壁面を色どる装飾性にあると、匠事務所は考えています。
これほどタイルが普及する前つまり昔は、いろいろな陶片やガラスのかけらを、敷きならべたのだろうと思います。
そうした発生に思いをめぐらすとき、今日のタイルに、もっと装飾性をもりこんだらどうか、と提案したいわけです。
メーカーから供給される、完成品としてのタイルを、説明書どおりに施工するのは、どうも少しものたりないように感じます。
それはもちろん、装飾性にとんだタイルを作るように、メーカーに要求することでもありません。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい