ハードとしての確実な家作り : 実践編

9.木工事   その9

 外部回りがある程度囲われてくると、いよいよ床を張ることになります。
これからが本格的な造作工事です。

 かつては一階の床下は、すぐに土でした。
土のうえに、通称ピンコロというコンクリートで型抜きしたもの(昔は玉石をつかった)をおいて、を立てたものでした。
しかし、今日では、床下一面に防湿シート(ポリエチレン0.2ミリ程度)をしいて、その上にコンクリートを打つことが多くなりました。
一階はどうしても、地面からの湿気が上がりやすいのですが、これでずいぶんと違います。
そして、そのコンクリートのうえに束を立てます。
最近では金属製の鋼製束が使われることもあります。
束は大曳き(大引き)をささえ、大引きは根太(ねだ)をうけ、根太は床板を受けます。

 

 床は、四周を壁に固定されていますから、上下には動きません。
ところが、中央部は下から束で支えられているだけで、上からは固定されていません。
そのため、床は上からの力には抗することはできますが、床を持ち上げようとする力には抵抗できません。
ちょっと考えると、床が持ち上がるなんて言うことはないと、思われるかも知れません。
しかし、床下通気口から風が入って、床を持ち上げることもあるし、木組の床では、木の素性(クセ)によって、床自体が浮くこともあります。
そして、浮いた床の上を人間が歩くと、その度にカタカタ・ギシギシと床がなります。
床なりは、構造状の欠陥ではありませんが、音が気になって嫌なものです。

 床下に使用する材には、一つの原則があります。
それは、全ての材をDの状態、つまり下に垂れた状態で使うことです。
長い材を何処も固定しないで、自由な状態に放置すると、AからDのように、さまざま勝手な曲がりかたをします。
こうした曲がりは木に内在したもので、外から力を加えれば簡単にまっすぐになりますが、力を抜けば、また元の状態に戻ってしまいます。
つまり、釘で固定してしまえば、一見まっすぐになります。
ところが、材を Cのようにして使うと、わずかな力が集まって思いもかけない力となって、床を持ち上げてしまいます。
持ち上げるといってもわずかなものですが、その上を人間が歩くと、人の重みで床が下がり音がします。
そして、人がどくとまた、床が浮き上がるということを、繰り返してしまいます。


 床組に使う材は、固定する前に、一度仮ならべをして、一本一本、木のクセを見ます。
仮並べの手順は、前の日に並べて仕事を終え、次の日の固定するときに、一本ずつ反りを確認するだけです。
ですから、仮並べの手間といっても本当にわずかなものです。
ところが、こうしたことに配慮する精神的な余裕は、近ごろメッキリと少なくなりました。
すべてに忙しい今日この頃です。

 すべての床材を、下垂れに使えば、まず床なりはしません。
このとき、釘を打つにもちょっと注意します。
上から打たずに、垂木の時と同様に、二本を斜めから打った方がいいでしょう。

 床組に使うのは、桧、杉、栂などでしょう。
見えない部分ですから、乾燥さえしていれば、栂で充分です。
床組が終わると床板を張るのですが、これから先は、畳の部屋にするか、板の間にするかで、少し仕事が違ってきます。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい