ハードとしての確実な家作り : 実践編

 7.外壁工事   その1

 外壁とは、屋根と同じように、家の部位を示す言葉です。
外壁工事は、仕上げに使用される材料によって、それぞれに異なった名前で呼ばれます。
ですから、左官屋によって仕上げられれば、それは左官工事と呼ばれます。
しかし、どんな仕上げにするにせよ、下地は同じですから、外壁工事という項目を立ててみました。

 家の外観は、外壁の仕上げに大きく左右されます。
洋風にするも、和風にするも、外壁の仕上げかた次第、と言っても過言ではありません。
外壁の仕上げ方で、同じ形の家であっても、まったく違う印象を与えます。

 今日の都市部でのように、建物に防火構造を要求されてくると、延焼を防ぐために外壁は不燃化しなければなりません。
木が燃えることは周知のとうりです。
外部に柱という木が露出した真壁作りの家は、よほど広い敷地がないと建築できません。
また、真壁の柱だけではなく、外壁に木をあらわした構造は、どうも認められないようです。
(柱をあらわす真壁にたいして、柱を隠して見せない仕上げを大壁という。)

 太平洋戦争のさなか、大火の中を逃げまどった人たちが、過剰なまでに燃えない家作りを目ざしたのはよく判ります。
ですから、外壁に可燃物を使用させない法律をつくったのも自然のことでした。
(木が簡単に燃えるものだというのには、多少異論がありますが、ここでは言及しません。)
そこで外壁は、木以外の材料によって、包まれることになります。


 屋根葺き材料が、まず雨よけ・火よけという性能から選択されるのに対して、外壁は見栄えで選択されることが多いようです。
外壁といえども、とりわけ防水性能を無視できないにもかかわらず、外壁に防水性能が云々されるのは少ないようです。
しかし、風速5メートル/秒をこえると、屋根面より壁面のほうがたくさん雨水を浴びるようになります。
ですから、外壁の耐水性についても、充分に注意を払いたいものです。


 外壁の仕上げ方法は、二つの方法に大別されます。
まず、砂とセメントを水で練ったモルタルを、左官屋によって塗り、そのうえにリシンボンタイルを吹き付ける方法です。
これは水を使うため湿式工法と呼ばれ、乾燥のための時間が必要です。
次にボード状になったものを、糊と釘の併用で、張り付ける方法があります。
こちらは水を使わないので、乾式工法と呼ばれ、これが最近では増えています。

 
間柱の建方:左-真壁、右-大壁
桁と柱の接合部に注意

 下地作りから、話を進めていきましょう。
柱は、90センチ〜1.8メートルの間隔でたっていますが、外壁を支えるには離れすぎています。
ですから、モルタル塗りでも、ボード張りでも、途中に受け木が必要で、それを間柱(まばしら)と呼びます。
間柱と言っても、柱ではありません。
柱よりずっと細く、36×39もしくは39×45の杉や桧もしくは栂材です。
もちろん、間柱がたつ部分つまり壁になる部分は、設計段階で決めてありますから、間柱が簡単にたつように、上棟前に穴があけてあります。
ふつうは、90センチのあいだに一本、少し丁寧な仕事になると、二本の間柱をたてます。
内外ともに大壁の場合は、間柱の幅が柱の幅と同じになります。


 間柱をたておわると、次には筋違をいれます。
筋違は今まで何度もでてきましたが、このときに取り付ける筋違が、家の構造耐力を負担する正式のものです。
ですから、これには、少なからず神経質にならざるをえません。
筋違をいれる位置は、家の平面計画つまり間取りを決めるときに決定します。
外壁が大壁で、室内が真壁の時は、外壁側にいれます。
また、壁の両面が真壁であれば、筋違を入れることはできません。
筋違は、家の全体に、平均的にばらまきます。
筋違は、平面図には普通、△の印で示されています。

 どのくらい筋違をいれたら、いいのでしょう。
たくさん入れればいれるほど、丈夫であることは当然です。
しかし、建築とは、頑丈であるだけと言うのでは困ります。
何のために家をつくるかといえば、住むため、換言すれば家の内部を使用するためです。
ですから、家は使用できるくらいに、丈夫であれば良いと言うことになります。
もっと言えば、使用に耐える範囲で最小最低限に、丈夫であるというのが最良です。

 必要最低限の追求として、構造設計が必要になってきます。
また、この必要最低限の追求が、コストダウンにつながり、どんな家でも構造部分にさかれる金額は、それほど変わりがないことになります。
けだし、高価な構造は、必要最低限の要求からはじき飛ばされて、採用されないからです。

 筋違の取り付け方にも、図のようにいろいろあります。
匠事務所としては、AもしくはBをすすめます。
というのは、Cの場合、柱との接合部は、釘の引き抜き抵抗だけでつながっています。
引き抜き抵抗は、たいしてあてにはできないものだからです。
AやBなら、釘の引きちぎり抵抗で抗しますから、その耐力は大いに期待できます。
筋違自身もさることながら、筋違と柱や桁と入った軸組の接合部が壊れては、何にもなりません。

 間柱は、外壁の単なる下地材ですが、筋違は構造を負担しています。
ですから、間柱と筋違がぶつかったときは、筋違が優先します。
間柱をきりかいて、筋違には傷つけません。
筋違は、外壁の外部に面したほうに入れますから、結果として外壁の下地材も兼用します。


 筋違は、端部を釘打ちで固定します。
そのため、端部が釘で割れては困ります。
釘打ちにより、材が割れてしまえば、釘はまったく効きません。
上手に釘を使うのは、板を割らないことでもあります。
太ければ丈夫とばかりに太い釘を打つと、板割れの原因でもあります。
筋違は、幅90厚さ30〜36という材が一般に使用され、釘は90ミリ(三寸釘)を使います。
また、材質は、桧よりも、釘で割れにくい、杉材が適しているようです。
図三のX部は、桁や柱の堀込みと筋違がぴったりしていると、端部が割れにくい。
また、ここがあまりゆるいと、筋違の効果が落ちます。

 最近では、筋違の接合部にも、金物を使います。
ですから、筋違の取り付け方には、それほど神経質になる必要はなくなりました。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい