ハードとしての確実な家作り : 実践編

5.木工事   その8

 昔は、上棟式の翌日は休みでした。
職人にとって、上棟式翌日の休みは、例外的なうれしい休み(昔は、毎月1日と15日だけが休日だった)でした。
しかし、今では上棟式が年に何度もあり、また、職人たちも週休になっているので、翌日が休みということはありません。


 上棟式の翌日、まず屋根の区切りをつけることから仕事は始まります。
上棟式の当日は、野地板も屋根の中心部だけ葺いておきました。
周辺部は、細かい仕事が必要になりますから、忙しい建て方工事の最中には、落ち着いて仕事ができないのです。
そこで、残してあった周辺部から、仕事は始まるという次第です。

 
垂木の鼻先をそろえる

 垂木の鼻先を切りそろえ、鼻隠し(はなかくし)を打ちつけます。
ここでは、墨壺が大活躍です。
垂木に切り墨をしるすには、鉛筆では駄目で、墨壷が便利です。

 屋根の流れ尻(B部分)では、鼻隠しと呼んでいたものが、妻側(A部分)へくると、破不板(はふいた、破風板ともかく)と名前を変えます。
(同じ材料でも、使う場所が違うと、名称が変わる)
そして、鼻隠しから、軒裏へと連なります。
軒天井と呼ばれるこの部分は、防火上の理由から、今日ではモルタル(砂とセメントを水で練ったもの)で塗り込めてしまいます。
そのうえ、野地板はなどに隠れて、見えなくなってしまいますから、このあたりは大工仕事でも、荒仕事の部類に入ります。
今日ではもっぱら、電気ノコギリ(丸ノコ)が活躍する領域です。
周辺部の処理が終わると、野地板もすべて張り上がり、屋根屋の登場を待ちます。


 屋根の形は、外観に重要な影響をもっていますから、古来から様々に言われてきました。
いわく、小さな屋根は急勾配が美しく、大きな屋根は緩勾配が美しい。
いわく、屋根はゆったり、おおらかにつくれ。
また、屋根は遠目でみるものですから、細かい寸法の違いには寛容です。
3分(=9ミリ)の違いは違いにあらず、というくらいに大まかな仕事がなされます。
もちろん、これは無神経な仕事を勧めているわけではなく、全体のバランスが大切だ、といっているわけではあります。
いずれにしても、屋根に対しては、近視眼的な見方は慎むべきでしょう。
大まかにいって、雨対策だけを考えれば、急勾配ほど有利で、単純な形ほど漏水の事故は少なくなります。


 これ以降、現場には、様々な職種が登場します。
そして、木工事が中心となりながら、ほかの職種と並行して工事は進んで行きます。
屋根の次は、外壁、床となりますが、そこを施工するには、水道屋、電気屋といった設備の工事が、先行しなければなりません。
こうした各職方の、工事進行具合いを一覧表にしたものがあります。
工程表といって各種の工事予定表です。
めんどうがって、工程表を書かない棟梁が多いのですが、工程表は建築主や監理者のためにだけではなく、各工事を担当する職方のためにもつくった方が良いのです。
もし、工程表が提出されなかったら、施工者に要求してください。
工事の進行と同時進行で、様々な職種の工事を絡ませながら、話を進めていきましょう。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい