ハードとしての確実な家作り : 実践編

2.基礎工事    その1

 基礎工事からが、建物の完成後も残される恒久的な工事となります。
ただ、基礎は建物が完成すると、見えなくなってしまう部分です。
そのため、とかくおろそかにされてしまいがちでした。
今までは、建物が完成してから後になって、基礎の欠陥による建物の損傷が表面化し、後悔することが多かったのです。
しかし、建ち上がってしまうと、基礎の手直しはほとんど不可能です。
液状化現象の被害をみても判るように、基礎の改修には大変なお金がかかることから、最近では基礎にお金をかけた工事が一般化してきました。


 木造住宅と言えども、基礎に関しては、土と鉄とコンクリートの世界です。
かつては、玉石を使った基礎もありましたが、現在はほぼ百パーセントが鉄筋コンクリート製です。
工事の手順としては、仮設工事でだした<遣り方>に従って、土を掘っていきます。
どのくらい掘るのかというと、設計図に示されたように、基礎が地中に納まる程度です。
土を掘ることを<根伐り(ねぎり)>と言いますが、基礎はその大部分を地中に埋めますから、どうしても一度は土を掘ります。
そして、当り前ですが、基礎工事が終わってから、出来上がった基礎を包むように、土を埋め戻します。


 建物にかかる力は、高い部分から低い部分へと伝えられて、最後は基礎から地中へと流れていきます。
根切りをした底面、つまり基礎が地面と接する面を<床付け(とこづけ)>と呼びます。
この面が大切です。
<床付け>面がゆるい地盤だと、後日家が傾いたりします。
建物の全重量を、この面が受けますから、<床付け>面は良質な地盤でなくては困ります。

 木造住宅の荷量は、一階あたり約400s/uですから、関東ローム層、俗にいう赤土でしたら充分です。
関東ロームは 5 t/u以上の地耐力がありますから、木造住宅の<床付け>面としては、そのままで大丈夫です。
しかし、盛土した地面や泥地のような場合は、少し別の考え方(地盤改良地業じぎょう)をしなければいけません。
地盤改良については、また別に項を立てます。

 重機械ではなく、人力で丁寧に平にした<床付け>面に、3〜5センチ程度のコンクリートを流して、上面を平らにします。
床付け面に直接施工するコンクリートを<捨てコン>と呼びます。
そして、コンクリートが乾いたら、その上に<遣り方>に印した、つまり基礎の位置を正確に移していきます。
この時には、基礎の中心から、ベースコンクリートの巾だけ広げた墨を打ちます。

 
鉄筋の配筋と基礎断面

 コンクリートは、砂と砂利とセメントを水でねったものです。
はじめはドロドロしていますが、一日で固形となり、一週間もたつと非常に硬くなります。
一度硬くなってしまうと、押しつぶされることには、とても強固に抵抗します。
ところが、引っぱられたり、曲げられたりという力には、まったく意気地がありません。
そこで、コンクリートの中に、鉄筋(直径 9〜13ミリの鉄の棒)を入れておきます。
すると、圧縮された時はコンクリート、引っぱられたときは鉄筋が、という具合いに分担して抵抗してくれます。
そこで、鉄とコンクリートをミックスした、鉄筋コンクリートなるものが使用されるようになりました。

 ベース コンクリートが打たれる部分に型枠をたてますが、その前に鉄筋を入れます。
鉄筋を決められた部分におくことを配筋と言い、鉄筋の組み方は大変やっかいで、細かいことを言い出すときりがありません。
特に、鉄筋コンクリートを主な構造とする建物は、大規模になることが多いため、配筋だけでゆうに一冊の本が書かれる程、詳細に決まっています。
しかし、木造住宅の基礎ですと、建物の自重が小さいため、経験的な原則が確立されています。


 ベースコンクリートになる部分、立ち上がり部分ともに、太さ 10 ミリもしくは 13 ミリの鉄筋を使用し、その間隔は 200〜250ミリ程度とします。
まずベース部分に配筋したら、L字に曲げた鉄筋をベース部分の鉄筋に縛り、図のように自立させます。
そして、立ち上がった鉄筋に横になる鉄筋を縛り付けます。
この時に縛るのに使う針金を、結束線とよび細くて柔らかい鉄線です。
そして、組上がった鉄筋はコンクリート真ん中に来てくれなければ困りますから、ベース部の鉄筋の下にはピンコロとかキャラメルと呼ばれるスペーサーをかませます。
そして、ベースコンクリートが流れ出さないように、両側の型枠をしっかりと固定します。

 
コンクリートの調合
 コンクリート調合比率は、水セメント比で表され、水/セメント=55%を目安とします。
コンクリートの堅さは、水だけで調整してはいけません。

 鉄筋が組み上がれば、コンクリートの打設です。
コンクリートは、水で練ったものですから、砂、砂利、セメントの調合が問題になります。
水が多ければゆるく、水が少なければ硬練りとなるのは、お判り頂けると思います。
硬練りであればあるほど、良いコンクリートなのですが、あまり硬すぎると、型枠に流れこんでくれません。
そこで施工性との妥協点で、硬さを決めるわけです。
目やすとしては、バケツにスリ切り一杯入れたコンクリートを、地面に「エイヤッ」とばかりにふせて、バケツをそっと外してみた時、バケツの形がなくなって小山になるくらいの硬さが良いようです。
バケツを外したとき、だらしなく四方に流れてしまうようでは、やわらかすぎます。

 正確には、コンクリートの練りの硬さは、スランプという数字で表します。
逆さにしたバケツの頂点から、小山になったコンクリートのてっぺんまでの数字が、硬さを示すスランプです。
そのため、スランプは数字が小さいほど、硬練りであることを表します。
通常、建築では15センチ、18センチ、21センチというスランプのコンクリートを使います。
とりわけ住宅の基礎は、型枠も単純な形をしていますから、スランプ15 程度の硬練りでも充分にいけます。

 まず、ベース コンクリートの部分にコンクリートを打ちます。
そして、上面を平らにして放置します。
一日すれば、コンクリートの上を歩けるようになりますから、次に立ち上がり部にコンクリートを打ちます。
しかし、Bの部分はこのままではいけません。
ドロドロとしたコンクリートを、せき止める型枠を設けなければ、コンクリートが打てません。
そこで型枠を設けます。


 ベース コンクリートのうえに、型枠を設置する場所を墨します。
それに従って、基礎巾の定規になる金物を打ちつけます。
そしてそれにそって、型枠を固定します。
鉄筋を中心にして、12〜15センチの巾で、型枠を通りよく設けます。
くねくねとした型枠は困りものですが、最近は鉄の丸パイプで型枠を両側から押さえるため、きれいに一直線となるようです。
そして、この型枠のあいだに、コンクリートを打ちます。
コンクリートは型枠になじんで固まるため、型枠の施工は大切です。

 この型枠の施工に当たっては、必ずやっておかなければならないことがあります。
それは基礎を横断する、給排水用のパイプ類の処理です。
何処をパイプが横断するかは、設計図面に明記してありますから、予定される箇所にはスリーブなるものを入れます。
すると、スリーブの所だけはコンクリートがまわらず、あとで楽々とパイプが通せるという具合いです。
これをしておかないと、あとでコンクリートをはつると言うことになり、みっともないことおびただしい仕事になってしまいます。
(排水パイプがとおるスリーブは、水が流れるように、勾配を考えて高さを違えて設置すること)


 コンクリート打設前にもう一つやっておく置くことがあります。
それはアンカーボルトホールダウン金物の埋め込みです。
アンカーボルトとホールダウン金物は、基礎土台とを継ぐもので、大変に重大な役割を持っています。
簡単にぬけては困ります。充分な長さ(ボルト径の40倍以上)をコンクリートの中に埋め込みます。
このアンカーボルトだけが、家のズレ止めと言っても良いくらいです。

 プディングを型に流すのと違って、コンクリートは放っておいたら、型枠にピッタリと流れこんではくれません。
放っておいても流れこんでしまうようでは、コンクリートが柔らかすぎで、良質なコンクリートではありません。
コンクリートは、流すとは言わずに、打つものです。
型枠の隅々までコンクリートが行き渡るように、竹の棒などで、丹念につついてやる作業がどうしても必要です。
これをおこたると、型枠を外した時には、痘痕(アバタ)やジャンカだらけの表面となり、手抜き歴然のコンクリートとなってしまいます。


 コンクリートに関しては、打設時の気温、時間、方法など、注意すべき点がたくさんあります。
たとえば、水を混ぜるわけですから、余り寒いときには施工できません。
外気が氷点下になると、コンクリートの中の水が凍ってしまい、コンクリートとして固まりません。
そのため、凍結の恐れのあるときは、不凍液を混ぜてからコンクリートを打設します。
これ以外にも、完璧なコンクリートを打設するのは、非常に難しいものがあります。


 大規模な建築ならいざ知らず住宅の基礎でしたら、コンクリートの調合にはあまり気にすることはありません。
とりわけ、最近では現場でコンクリートを練ることが少なくなりました。
生コンと称する工場生産のコンクリートを使うことが多いため、コンクリートの品質は安定しています。
ですから、生コンを使えば、あとは型枠の全体にコンクリートをきっちりと充填するつもりで、丁寧に施工するれば充分です。
なお、生コンは 0.5m3(立米:りゅうべい)単位で販売されており(¥12,000/m3くらいか)、電話一本で配達してくれます。
そのときに、コンクリートの強度を指定します。
住宅の基礎に使われるのは、180もしくは210s/uです。

そして、コンクリートを打設してから、2〜3日ばかり放置してから型枠をはずし、土を埋め戻して、基礎工事は完了ということになります。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい